時計愛好家の皆様、こんにちは。
今回は「腕時計中心のコーディネート研究」として、ロレックスのデイトナ(白文字盤)を主役に据えた、秋のコーディネートをご提案します。従来、ファッションは服から選ぶのが一般的でしたが、この企画ではあくまで主役は腕時計とし、時計の特徴を活かしたコーディネートを追求します。
今回の研究の基盤となる考え方は二つあります。一つは、赤嶺幸生氏の著書にもある「男の三原色」という概念です。ネイビー、ブラウン、グレーといった色を軸に組み立てることで、着こなしが格段に良く見えます。そしてもう一つは、四季を楽しむ心をコーディネートにどう取り入れるか、という視点です。
ロレックス デイトナ(白文字盤)の魅力
今回取り上げるのは、ロレックスの象徴と言っても過言ではない、デイトナの白ダイヤルです。
この時計の最大の特徴は、白文字盤にブラックのセラクロムベゼルを組み合わせたモノトーンの配色です。このモノトーンが、都会的でモダンな印象を与えます。もちろん、デイトナはレースのために作られた時計であり、クロノグラフとしてのスポーティーな性格も兼ね備えています。
この都会的でスポーティーなクロノグラフを、全体のコーディネートにどのように落とし込んでいくか、異なる二つのスタイルを提案します。
パターン1:モノトーンスタイルで際立たせる知的な品格
デイトナのルーツがレースにあることから、スポーティーな雰囲気はありますが、大人として最も格好良い合わせ方は、色の数を絞り、白ダイヤルが持つシャープさを際立たせることです。この方針は、知的な大人の品格を強調することを目指します。

グレーのグラデーションで都会的に
デイトナの白と黒のコントラストを邪魔しないように、全体をグレー系のグラデーションでまとめます。グレーは「男の三原色」の一つであり、知的で都会的な印象を与える色です。

- ジャケットとパンツの濃淡 ジャケットにはミディアムグレー、パンツにはチャコールグレーを選び、濃淡をつけることで、単調さを避けつつ、洗練された印象を生み出します。
- 素材の選択 素材には、新しいウールフランネルやホップサックなど、表面に表情のある素材を選ぶのがポイントです。これにより、地味になるのを避けながら、余裕と清潔感を同時に演出できます。
- インナーと時計の精緻さの調和 インナーには、時計の白文字盤の色を拾った白のタートルネックを合わせます。このタートルネックはVゾーンの露出が少ないため、スポーティーなデイトナと組み合わせてもドレッシーな雰囲気に落ち着かせることができます。さらに、目が細かいハイゲージのニットを選ぶことで、デイトナの精緻な作りと世界観とリンクさせることが可能です。
- ブラックで引き締める ベルトと靴は、ベゼルの黒を拾ってブラックで統一します。これにより、時計のスポーティーさが引き締まった印象に変わります。素材は、艶が少ないマットなものを選ぶことで、ロレックスのオイスタースチールの無機質な質感とも調和します。
- ポケットチーフ ポケットチーフにも、文字盤の白を拾ったリネン生地のものを使います。
この「モダンでモノトーンスタイル」は、モノトーンの魅力を最大限に生かし、知的な印象と都会的な品格を強調する装いです。
パターン2:アクティブな性格と季節感を楽しむタフ&アクティブスタイル
もう一つのスタイルは、パターン1とは雰囲気をがらりと変え、デイトナが持つアクティブな性格と、秋の自然を感じさせるブラウンを組み合わせていきます。これは、オフの日に遠出したくなるような、少しのタフさと遊び心を兼ね備えたコーディネートです。

秋の素材と情熱的な色使い
時計のアクティブな性格を、季節感のあるブラウンやコーデュロイ素材に落とし込むことがこのスタイルの鍵です。

- 温かみのあるブラウンジャケット ジャケットには、「男の三原色」の一つであるブラウンを使います。スポーツウォッチのアクティブな印象に、ブラウンが持つ温かみや親しみやすさが加わります。
- コーデュロイでタフなイメージと調和 素材は、秋にぴったりのコーデュロイを選びます。コーデュロイの持つタフなイメージは、デイトナの持つタフなイメージと相性が良く、リラックス感とおしゃれな雰囲気を両立できます。特に、畝(うね)が太いコーデュロイを選ぶと、よりカジュアルな印象になります。
- スポーティーさを表現するネイビー インナーにはネイビーのスウェットを選び、デイトナのスポーティーさを表現します。ネイビーも「男の三原色」の一つであり、白文字盤とのコントラストが際立ち、デイトナをより格好良く見せます。ただし、運動着のようなものではなく、上質なハイゲージのスウェットを選ぶことが重要です。
- オフホワイトのパンツ パンツは、デイトナの白文字盤を拾う形でオフホワイトを合わせます。
- 情熱を表現するチーフ デイトナはレースの興奮を象徴する存在でもあるため、その情熱的な要素をポケットチーフで表現します。オレンジ色のペイズリー柄のチーフを選ぶことで、遊び心を加えます。
- 足元 足元は、ブラウンのジャケットと調和するブラウンのスウェードなどが良いでしょう。
この「タフ&アクティブスタイル」は、ブラウンやコーデュロイ素材を活用し、時計が持つアクティブな性格を季節感に落とし込むことで、遊び心を楽しむ装いです。
結論:デイトナを中心に装いを組み立てる
ロレックスのデイトナ白文字盤は、白と黒の都会的なコントラストが特徴のスポーツクロノグラフです。
これをコーディネートに落とし込むには、パターン1のようにモノトーンを活かし、グレーのグラデーションで知的な品格を強調するか、あるいはパターン2のように、季節感を採り入れ、ブラウンやコーデュロイといった素材でアクティブさと遊び心を楽しむか、という二つの極意があります。
腕時計を中心軸に据えることで、服選びとはまた違った、論理的かつ奥深いファッションの楽しみ方が開けてきます。
